見積もりは、図面の寸法を数えて単価表へ当てはめる仕事ではありません。同じ形でも、素材の買い方と数量が変われば工程は変わります。最初に見る条件は、大きく五つです。
1. 材質と素材の状態
S45C、SUS304、A5052、チタン、インコネルでは、材料費だけでなく工具、切削時間、熱の出方が違います。丸棒から取れるのか、鍛造品や支給材なのか、熱処理前後のどちらで削るのかも見積もりに影響します。支給材の場合は、失敗時に代替材を用意できるかも確認します。
2. 素材からどれだけ削るか
完成寸法が小さくても、入手できる材料径が大きければ除去量は増えます。反対に、完成形に近い素材が安く入るとは限りません。材料単価、切削時間、最低購入量を合わせて比較します。
3. 数量と次回予定
一個の試作では、汎用爪と最小限の治具で早く立ち上げる方が合理的です。継続して千個作るなら、専用爪、自動供給、工具寿命の管理へ費用をかけた方が一個当たりは下がります。今回数量だけでなく、月間・年間の予定があると工程を正しく選べます。
4. 公差・面粗度・幾何公差
±0.01という寸法公差だけでは加工方法は決まりません。同軸度、振れ、真円度、円筒度、面粗度がどの基準に対して必要かで、同一チャック仕上げや測定方法が変わります。機能上必要な箇所を教えてもらえると、不要なコストを外せます。
5. 納期と外注工程
加工時間が短くても、材料、熱処理、研磨、表面処理に日数が必要なことがあります。希望納期は加工だけでなく、検査成績書や梱包まで含めて考えます。
早い見積もりに必要な情報
図面、材質、数量、希望納期の四点が基本です。用途、重要寸法、表面処理、年間予定数があれば、概算の幅を狭められます。すべてそろっていなくても大丈夫です。分かる範囲でお送りください。不足情報は三つまでに絞って確認します。