加工機の画面では寸法が合っている。測定しても問題ない。それなのに、チャックを開いた瞬間に形が変わる。薄肉旋盤加工では珍しくありません。
三爪チャックは三点から力を入れる
三爪チャックは扱いやすく、丸物加工の基本です。ただし薄いリングを外側から強くつかむと、三方向の力で一時的に変形します。その状態で内径を真円に削っても、つかむ力を解放すると素材が戻り、内径がおにぎり型に見えることがあります。
把握圧を下げるだけでは解決しない
圧力を下げすぎれば、切削抵抗でワークが動く、振動する、端面が浮くという別の問題が出ます。必要なのは、力を弱くすることより、力を受ける面積を増やすことです。成形した生爪、割り治具、マンドレル、端面受けなどから、形状と数量に合う方法を選びます。
材料の中にも力が残っている
素材には圧延、鍛造、熱処理、前加工による応力が残っています。片側だけを一気に削ると、その釣り合いが崩れて変形します。粗加工後に時間を置く、内外径の取り代をそろえる、反転回数を増やすといった工程が有効な場合があります。
切削熱と測定温度
薄肉部は熱容量が小さく、加工中に温度が上がりやすい形状です。熱いまま測った寸法と、室温へ戻った寸法は同じではありません。仕上げ前の冷却、測定までの待ち時間、測定室の温度をそろえないと、公差が厳しいほど判断がぶれます。
図面で決めておきたいこと
肉厚、長さ、真円度、円筒度に加えて、自由状態で保証するのか、組付け状態で機能すればよいのかを確認します。相手部品との関係が分かれば、必要な公差へ重点を置けます。